堆肥という土壌改良材

某所に樹造園の土場があります。

その一角に枝葉の積み上げられたところがあります。

造園業なので、仕事には樹木の剪定や伐採などがあり、太い幹などは割って乾燥させ薪とします。

そして細い枝葉は、細かく粉砕しここに山にしてあります。

実はこの山、ほんの一か月前まではさらに1.5倍くらいあったんじゃないかと思うのですが、

ようやく雨が降ったりして、ずいぶん小さくなりました。

 

一般的な造園屋さんは、剪定枝などは可燃ごみとして処分すると思うのですが、樹造園は捨てません。

なので剪定枝の処分費も一般的にかなり安くしています。

 

さて、安く引き取ってきた剪定枝は、土場でこうして山にして、土壌の微生物の力を借りて堆肥を作っています。

私は窒素系の肥料や酸素の供給のためにたまに撹拌したりして、微生物が枝葉の分解をする手伝いをしています。

 

なので樹造園の言う処分費とは、正確には枝葉の分解にかかわる作業費で、微生物の飼育代です(笑)

 

ここで作られた堆肥は、敷地内にある畑にまいたり、庭の土壌改良で使ったりすることが出来ます。

 

 

庭木には、本来その木が落とした落ち葉をそのままにして、自然に分解されるのを待つ方が良いのです。

ただ、問題もあります。

庭の中の限られたスペースでの落ち葉は、すぐに他のところに飛んで行ってしまいます。

敷地内であればまだいいですが、ご近所や道路などに落ち葉を散らかしていては気が引けますよね。

また、虫が多く発生するので、嫌がられる人もいます。

本来はダンゴムシなどの小さな虫から、各種菌類も枝葉の分解に携わる大切な存在なのですが、

不快害虫と言われ、見た目が気持ち悪いから殺してもオッケー的な、今の世の中なので、

かわいそうな虫たちを増やさないために、私は庭の落ち葉はある程度きれいに掃除します。

理解を得られる現場では適度に残しますけどね。

 

いったん土場に持ち帰り、分解を進めてから、再び必要であれば庭に返す。

使用場所によっては、完熟たい肥でなくて、半熟くらいの枝がある状態のものを表土として使い、

現場で時間差で分解されるような使い方もします。

 

この枝葉の山を掘り返すと、カブトムシの幼虫がゴロゴロ出てきます。

彼らも大切な分解者なのですが、大型なので切り返しの時はつぶれてしまったり、かわいそうだったりします。

しかし自然は、生と死は同じことなんですね。

彼らの死骸は他の微生物の餌となりトータルで見ると微生物量はほぼ変化しないのです。

 

不快害虫駆除のように、毒殺したものはその死骸を摂取したものまで殺してしまうので、ほんと百害あって一利なしですね。

 

植物は多くの微生物や菌類などと、生と死まで共有し、どれか一つで生きているという事はありません。

木を育てていて、虫が出たと言っては殺虫剤をまくような管理では、本当の意味では植物は育ちません。

 

これは現代農業や園芸植物の管理方法が一般化した弊害だと思います。

 

土壌の微生物類と、草木が共存し、豊かな環境であれば特定の植物だけ害が出ることはないのですが、

人のエゴが、自然界では満足に生きられない植物を生み出し、その結果多くの益虫を殺してしまう。

 

庭は環境づくりです。

コンクリートを一面に敷いて、草などを押さえつけても良い庭にはなりません。

 

庭にいながら、多くの動植物と触れ合える、水や空気が流れる庭を作るため、

もし仮に木を植えないにしても、排水性の改善などのため土壌改良をする価値はあると思います。

 

堆肥の使用はその第一歩です。

植物由来の土にかえる優しく無理のない資材を使いませんか。

 

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